枕の有効性に限界を感じる

私は枕外来や枕研究所において、黙々と手作り枕の調節や枕計測を行ってきました。

枕の効果がいかに素晴らしいかは、毎日向き合う患者様の表情を見れば一目瞭然です。

しかし、診療所でどんなに枕を調節して適合しても、自宅に帰って一晩寝ると調子が悪くなるという患者様がいます。そう訴える患者様の一人に、診察の時にあるものをご自宅から持ってきてもらい、とうとうその原因を突き止めることができたのです。

それはふとんでした。30万円もしたというご自慢の敷きぶとんは、真っ赤なカバーに金の糸で刺繍が施された豪華なものです。しかし、その敷きぶとんの上に調節した枕を乗せても、ふかふか過ぎてまったく枕と適合しませんでした。

そこで、この患者様には、安くてもいいのでしっかり寝返りの打てる綿の敷きぶとんに替えるようにアドバイスしました。次の診察では綿の敷きぶとんを持参され、枕との適食がすっかり改善していました。

せっかく枕を3~5mm単位で微調節しても、20年以上も使用してコイルの慯んだベッドや、腰が1cm以上も沈んでしまうウレタンのマットレスやふかふかの敷きぶとんでは、寝返りが打ちにくいのです。

この状態では、私たちが目指す「至適睡眠姿勢」とはいえません。至適睡眠姿勢とは、簡潔にいうと、頭から首、胸腰、骨盤、足までを含めて、いかにスムーズに寝返りできる姿勢かということです。

私は枕だけで至適睡眠姿勢を作ることの限界を思い知らされました。